2008年7月19日土曜日

突然の部署換えにびっくり

翌日、朝一番で、ドキュメントコントロール部のチャックのオフィスへ向かう。

チャックが一生懸命、キーボードをたたいていた。

ピリット: おはようございます、チャック。朝一であなたのオフィスに行くようにと、スティーブから指示されたんですけど。
チャック: やあ、おはよう。スティーブから昨日の夜電話があって、君が朝8時にオフィスに行くから準備しておいてと、突如言われてびっくりしたよ。でもボクの部に来てくれて嬉しいよ。今、君にやって欲しい仕事のリストを作ってるところだ。見てみる?

プリントアウトを覗き込む。

まずチャックが自己紹介。中東や日本の会社でプロセス改革を行った経験もあるというので、へーっと尊敬の気持ちが芽生える。人はみかけによらない。

機器原簿と機器履歴簿について説明のあと(シンプルで的を得た説明だったので10円高)、いくつかの課題の説明。

そんなたくさんはなかったが目玉は二つ。

現在のエンジニアリング・チェンジ・ノーティス(技術変更通知)を二人の専任がやっているが、やりかたに何か問題があるかどうか、あるとしたら指摘して欲しいというのが一つ。

コンピュータ上のイメージファイルのライブラリーを作るのが二つ目。イメージファイルにもいろいろある。宣伝用の写真もあれば、製品の組み立て方を組立工に示すための写真もある。その他、ビデオクリップや絵、マーク等が、あちこちのフォルダーに散在。そういうファイルの整理の仕方を考えて欲しい事、それプラス、イメージファイルをすべてプリントアウトして欲しいというのだ。 

一つ目は、わかるかどうか見当がつかないのでちょっと不安。なんとなくテストの雰囲気だ。

二つ目は、まず各フォールダーに何が入っているのか確認するのが第一歩。そのためにはパスワードが必要。でITとアポを取る。

2008年7月13日日曜日

2008年4月xx日:  ドキュメントコントロールへ移る

上がったり下がったりしながら、全体には下降のトラジェクトリーを描いているのが私の仕事史なんですが、今は、サンフランシスコ・ベイの向こう側にある、ぜんぜんかっこよくない町の、建物内部が今まで見た会社の中で一番アグリーな会社へ、毎日、車で通ってます。

このアグリ会社で仕事を始めたのは今から約一年前、ガソリンは1ガロン2ドルちょっとだったんですが、今年(2008年)の4月から、あれよ、あれよと毎週値上がりし、今は4ドル50セント! 

ガソリンの値段が上がるのと機を一にして、私の部内では前から鳴いていた閑古鳥が、隠しようも無く、大声で鳴き始めました。

そんなある日の夕方、駄目ボスに退社の挨拶をし終わって帰ろうと向きを変えたところ、いつのまにか会社のセカンド・トップであるスティーブが、私の30センチ目の前に立ってるではないか。

事態を飲み込めずボッーと突っ立ってると、スティーブは私を厚いメガネの奥の黄灰色の目でジーっと見つめたまま、バタンと後ろ手でドアを閉めました。これは良くないサイン。いつか来るとは一応、予想してましたが、変な日の、変な時間にきたものよ!落ち着け、落ち着け、ピリット!


ピリット: 急に後ろに立ってるんでびっくりしたわ。ニコ、ニコ。
スティーブ: 音も無く後ろから社員に近づくってのも、マネージャーのトレーニングで習う、欠かせぬ技術なんだよ。ハッ、ハッ、ハッ。
ピリット: (本当かい?)
スティーブ: ピリット、ゴホ、ゴホ、ゴホッ、(顔を真っ赤にして)ドキュメントコントロールをちょっとやって見るなんてアイデア、どう思う?


えええェ〜? これは思ってもない方向へ話が展開。そんなことやったこともないし、給料があがる路線でなさそうだし、いいと言った方がいいのか、悪いのかの判断がつきませーん。だけど、駄目ボスのもとでは意味ある仕事はゼロで退屈、経験は増やせる時は増やした方がいいかな。かといって、あまり熱心に駄目ボスから逃げ出したいと思っている本音をここで露骨に見せるのは、本人のいる手前、ちと失礼と思い、次のような手にでる。


ピリット: スティーブは渡辺さんとは既に話し合いをされているんでしょう? 渡辺さんが良いと言ってるなら、喜んでドキュメントコントロールの仕事をしてみましょう。やったことの無い事は、興味あります。しばらくの間のことなんでしょう?
スティーブ: ゴホ、ゴホ、ゴホッ、ムー、そうだね、3ヶ月から6ヶ月ぐらいだね。引き受けてくれて有り難う!(ホッとした表情。この間、駄目ボスの方は、一度も見なかった。)


というわけで渡辺駄目男部から、ドキュメントコントロールへ貸し出しという事になった。

駄目ボスはスティーブが去った後、感極まった面持ちで、「仕事が忙しくなったら、必ず呼び戻してあげるからな」ですって。